2013年度第2号(通算第42号)
今号の主な内容
- 巻頭言
- 第3回役員会報告
- 晴天の下での第1回神奈川区ぶらり探訪
- 防災・減災市民セミナーのお知らせ
- こちら情報室
- 視覚障害者と外出(その2)
- 編集後記
本誌は、視覚障害者に対する情報のハンディキャップに考慮し、同じ内容を以下の媒体で発行しています。 ①墨字版 点字に対し一般文字のことで12ポイントと18ポイントの2種類 ②点字版 両面印刷の通常の日本語点字1種類 ③音声版 音訳者による録音でデイジー方式のCD1種類 購読をご希望の方は神奈視協までご連絡ください。また、お知り合いの視覚障害者にもご紹介ください。
行事案内(2013年度№2)
ここでは、神奈視協やピアプレースが主催したり共催したりする行事を中心に、発行日の9月15日以降のものをお知らせします。 申込み電話番号はいずれも090-3405-4294(神奈視協・ピアプレース共用)
1.防災・減災市民セミナー(今号で詳細案内)
- 日時
- 2013年 10月6日(日曜日)
- 8時45分から16時00分
- 場所
- 黒川東営農団地・川崎市立日本民家園
- 参加費
- 1人1000円(ガイド700円)、会員外1200円
- 申込み
- 9月10日(火曜日)から25日(水曜日)の間に電話で申込み
2.日帰りバス研修ツアー(次号で詳細案内)
- 日時
- 2013年 10月6日(日曜日)
- 9時00分から16時00分
- 集合場所
- はーと友神奈川
- 行き先
- 現在検討中
- 解散
- はーと友神奈川
点字版・墨字版ニューズレター購読の正会員・賛助会員へ、今号より点字と墨字の双方を送付することになりました。点字版購読者は晴眼者に見ていただくために、墨字版購読者は点字の啓発のためにご活用ください。 購読会員で点字版を希望する方は、個別にご連絡ください。
あなたもご一緒しませんか!神奈視協の活動に!
私たち、横浜市神奈川区視覚障害者福祉協会(神奈視協)は、視覚障害者とその家族の親睦・交流と視覚障害者の福祉向上を目指している団体です。 「最近字を読みにくくなった。」「夜になると特に見えにくさを感じる。」「階段を下るのが怖い。」そんな悩みを抱えているあなた! 「目をしかめて本を読んでいる。」「私と視線が合わない。」「置いたものを手探りで探している」そんな様子が見られるご家族をお持ちのあなた! もしかすると、それは視覚障害の初期の症状かもしれません。 そんなご本人やご家族の力になるのが、神奈視協です。まずは気軽にご連絡ください。私たちも同じ視覚障害者ですから安心してご相談いただけます。 また、神奈視協には視覚障害者支援センターピアプレースという外郭団体があり、視覚障害者とその支援者を応援しています。どうぞご利用ください。 まずは電話連絡を! 電話 090-3405-4294(神奈視協・ピアプレース共用) ピアプレースにはホームページもありますので覗いてみてください。 ご連絡をお待ちしています。
巻頭言
梅雨直前に実施した初の『神奈川区ぶらり探訪』は、多くの縁の下の力持ちのお蔭で大成功となりました。ここでは2つの力持ちのことを紹介します。 第1は、神奈川区いまむかしガイドの会の全面的なご協力をいただけたことです。4月の打ち合わせでは、私たち視覚障害者に配慮した「触れて味わう」比較的ゆったりしたコースの案を2つご用意くださいました。そのためコース決めがすぐにできましたし、決めたコースを即日下見してくださった上、見学先のお寺のご住職に、触れても井伊という許可を取り付けてくださいました。 第2は、盲導犬訓練士学校の学生の支援が受けられたことです。私たちの外出行事が益々窮屈になる中、苦し紛れに思いついたのが、盲導犬訓練士の卵なら視覚障害者の誘導も体力が要る雑用もやってもらえるのではないか、という我侭な迷案でした。幸い彼らは期待に違わず、「勉強させてください」と素直な姿勢で期待以上にきちんとやり遂げてくれました。 前者は今までも説明してきましたので、ここでは後者について説明します。 ご存じのとおり、情報提供や代読・代筆を含んだ同行援護が始まったのに、横浜では外出が容易になるどころか窮屈さが募るばかり。神奈視協では、一方で制度改善を求めつつ、他方でガイドボランティアの養成やイベントボランティアの発掘等の自主努力も続けてきました。しかし非力な団体のこと状況は一向によくならず、計画したイベントの参加者も減る、イベントも行いにくくなる、役員も萎縮して力が入らない、そんな閉塞間が蔓延していました。 そんな中で思いついたのが、福祉系大学や専門学校の学生にボランティアを頼んではということです。彼らなら少なくとも心構えはあるはずです。でも、歩行が不安定な視覚障害者の誘導ができるだろうか、参加者が安心して歩けるだろうか、無事故で終われるだろうか、そうした心配も湧いてきました。だったら視覚障害者を知る学生は・・・?いました、盲導犬訓練士の卵です。 私は盲導犬ユーザーですので、盲導犬協会へよく行きます。また盲学校にいましたので、県内の視覚障害関係機関へもよく行きました。そこで感じたのは、それらの機関で視覚障害者への対応が最もいいのは日本盲導犬協会の職員だということです。職員がそうならその卵の訓練士学校の学生もそれなりだろう、イベントの手伝いや、どうしてもガイドヘルパーやガイドボランティアを見つけられない人のガイドをしてもらえるのではないか。私は苦し紛れの身勝手な提案を盲導犬協会の職員へ早速ぶつけてみました。 すると、「学生の勉強にもなるのでいいことでは」との反応。神奈視協・学生の双方にメリットがあればと私も思っていましたので、担当を決めていただき、あとはとんとん拍子で話が進み、当日を迎えることができたわけです。 学生との関係は始まったばかり、問題も出るかもしれません。が、他区に学び他区にないことをする、それで神奈視協が元気になれば浜視協もよくなる、その気持ちの表れがこの新しい関係だとご理解いただければうれしいです。
第3回役員会報告
今年度第3回役員会は、5月26日の午後にはーと友で行われました。 最初に同日午前の神奈川ぶらり探訪のサポートをしてくださった盲導犬訓練士学校の学生の皆さんとの懇談があり、互いに自己紹介を行い、反省を述べる等の意見交換を行いました。 学生の皆さんからは、「誘導の仕方はどうだったか、勉強したいので歩きにくかった点を教えてほしい」「話しながら歩けたのが楽しかった」「犬は身近な存在だが、視覚障害者の方に接する機会は少ないので貴重な経験ができた」等の発言がありました。 今後とも行事運営への協力や、どうしてもガイドを見つけられなかった視覚障害者に対するガイドとして参加してほしいことをお願いして終わりました。 その後通常の役員会を行いました。主な点は以下のとおりです。
1 当面の行事について
まず、気軽に参加できる食事会とかおしゃべりの会等について相談した結果、立町の福祉活動ホームで夏祭はできないか、キリンビヤビレッジでの工場見学と食事会はどうか等の提案がありましたが、いずれにも課題があり、今回は見送ることとなりました。楽しみにしていた方には申し訳ありません。 携帯電話やスマートフォンの体験会については、8月に新しいらくらくスマートフォンが発売される見通しとなったため、その機能や使い勝手等も確認してから計画を立てることとしました。期待している方はもうしばらくお待ちください。 視覚障害者の防災・減災に関する行事については、今年9月1日が関東大震災から90年になることから、映画の上映と語部の話を聞く市民セミナーとして行う計画を立てることになりました。 映画は『逃げ遅れる人々』という、3.11東日本大震災時の障害者のドキュメンタリーで、視覚障害者用の解説が副音声でついているものを上映します。 語部の話を聞く会は日盲連が取り組んでいるもので、被災した視覚障害者から直接体験談を伺う貴重なものです。今後先方との調整に入ります。 このようなことから、神奈視協会員だけでなく広く市民にも呼びかけて、災害要援護者の状況を知っていただく場にするよう計画します。どうぞご近所の方々もお誘いいただきお越しください。(関連記事が今号にあります。)
2 その他について
ピアプレースが点字印刷事業を正式に始めたことや、県内の視覚障害関係機関で構成される『神奈川県視覚障害者生活技術研究協議会』(生技研)へ加入したこと等が報告されました。 役員会終了後には、ピアプレースが受託した点字印刷物の封筒詰め等を全員で手分けして行い、役員自ら事業遂行に向け努力しました。
晴天の下での第1回神奈川区ぶらり探訪
晴天の5月26日(日曜日)の史跡を歩いて巡る第1回神奈川区ぶらり探訪を実施しました。墨字でしか配れなかった当日の資料を同封しますので、参加した方は思い出しながら、参加できなかった方は豊かな想像力でお楽しみください。では、『ぶらり探訪に参加して』と題するAさんの報告です。
5月26日(日曜日)は晴天に恵まれ、『ぶらり探訪』日和。集合場所のはーと友でスケジュールやグループ分けの説明があり、各グループ担当のガイドの方の誘導で出発しました。 まず、反町公園でこの公園の戦後の歴史についてガイドの方のお話があり、ここで貿易博覧会が開催されたとのことでした。その後公園は市庁舎の敷地となり、貿易博覧会のパビリオンの名残の現在の神奈川スケートリンクは、市庁舎の一部として使われていたそうです。 私が子供の頃、公園にはジェットコースターがあり、釣り堀やプール、バッティングセンターなどもあったように思いますが、なにしろ子供の頃のことなのでよく覚えてはおりません。 そこから国道1号線を横断し、ガードをくぐって慶雲寺(通称「かめのこ寺」(へゆきました。入り口右手に亀の背中にフランス領事館跡ノ石碑が建っており、横浜開港当時にフランス領事が暮らした所とのことでした。またこのお寺は浦島伝説の特に多いお寺のようで、浦島太郎のお父さんにまつわるものもあるようです。 神奈川区には浦島伝説に関する地名もあります。浦島が丘、浦島町、亀住町などです。ちなみに私は浦島小学校、浦島中学校の卒業です 次に成仏寺に行きました。このお寺はヘボン式ローマ字で知られる、医師で宣教師のヘボンの宿舎になった所とのことですが、当時は布教が禁じられていたので近隣住民の治療をしていた様です。 神奈川地区センターで休憩後、高札場についておはなしがありました。高札とは現在の掲示板でかなり大きく、主に幕府や藩の『おふれ』などが掲示されたとのことです。 次の金蔵院の前では将軍お手折りの梅があるとの話、熊野神社に行くと大きな狛犬が左右に座っていました。 戦後、この地域は進駐軍に接収されていて、仮社殿が国道1号線の東神奈川駅西口から100メートルくらい横浜駅寄りに置かれていました。またその前、横浜大空襲で焼け野原となったこの地域の神社やお寺の焼け残った石像物は、ブルドウザーで京浜急行の土手に埋められ、熊野神社の狛犬もその一つで、掘り出されて修理されたものだとガイドの方が説明してくださいました。 ぶらり探訪に参加して、狛犬が珍しい子連れであること、焼けただれた銀杏の木を進駐軍はなぜ残したのかなど、新たな疑問と発見、子供の頃にタイムスリップした半日でした。
次は『楽しくて興味の尽きないブラリ探訪』と題するBさんの報告です。
真夏日になりそうな暑い朝です。9時45分頃に、はーと友に着きました。受付を済ますと3つのグループに分かれ、《ガイドの会》やボランティアの方を紹介されました。ずいぶん大勢の方が、来てくださっているようです。 「のどが渇く前にお茶を飲んでくださいね。」と注意を受けつつ、手渡されたペットボトルをリュックに入れて、いざ出発、反町公園に着きました。ここは何十年か前、子供と楽しく遊びまわったところです。しかし、この公園にはつらい歴史があったことを初めて聞きおどろきました。空襲に遭い、戦後はアメリカ軍に接収され、貿易博覧会の開催後にようやく日本に返還されたとのことです。このお話を聞きながら、昭和50年代横浜に越して来た頃のことを思い出しました。金網の向こうの本牧・根岸は、見たことのない光景でした。広大な緑の芝生の中に白い家が点在し、そこでは金髪の子供が遊び母親がゆったりと見守っているのです。その風景に、なぜか違和感と憤りを覚えたのでした。今では暗渠となっている滝の川の上を歩きながら、今も多くの金網や基地のある沖縄を思いました。 JRガード下をくぐり、慶運寺に着きました。このガード下にも煉瓦が敷かれ何か書かれているようでしたが、手を触れてもよく分かりませんでした。この慶運寺は浦島寺とも呼ばれ、浦島伝説に伝わる女神像(亀化龍女神)等があるそうです。亀の形の手水鉢もあり、そこで手を洗いました。門前で滝の川の向こう岸にはイギリス領事館、こちら慶運寺にはフランス領事館があり滝の川がドーバー海峡と称されたと、面白おかしく話して下さいました。 成仏時は、ローマ字で有名なヘボン博士夫妻や、他の宣教師の方たちの宿泊所となっていたそうです。今はない神奈川御殿は、三河・江戸間を往来する徳川家の宿泊所として使われていたと教えていただきながら、熊野神社に向かいました。ここでは、大火に遭って樹皮が焼けたにもかかわらず、すくすくと成長している火伏の銀杏を見ました。最後に神奈川宿の高札場を見学しました。高札は圧巻で横5.7メートル、縦5メートルの大きなものです。「文字は難しく、江戸時代の人々の知的水準の高さがわかる。」と教えて下さいました。この大きな高札を拝見すると、いろいろな制約を受けて旅した江戸時代の人々の気持ちを少し実感できたような気がしました。その後地区センターでおいしいお昼を頂き解散。 さて、皆さんにお尋ねします。鎌倉幕府は何年に成立しましたか?私は「イイクニツクロウ鎌倉幕府」と覚えました。ところが、ガイドの方からこの頃は1185年が鎌倉幕府の成立年と聞き唖然、びっくり仰天。このように新しい説が出てくるというのは、とても面白くて興味が尽きないとおっしゃいました。私も同感です。 では、第2弾を楽しみにしております。《いまむかしガイドの会》の皆さん、本当にお世話になりありがとうございました。
防災・減災市民セミナーのお知らせ
ピアプレースと神奈視協では、東日本大震災で被災した視覚障害者がどんな状況だったかを広く知っていただくとともに、行政は何をすべきか、地域住民と視覚障害者が日頃からどのような関係を築いておくことが重要なのか等を考える場として、昨年9月に視覚障害者の防災・減災セミナーを開催しました。 また今年3月には本所防災館を見学し、地震、風水害、火災等についての体験型研修を行い、大災害への備えの大切さを学びました。 関東大震災から90年となる今回は、高齢になれば誰でも多かれ少なかれ心身ともに不自由になることを念頭に、改めて様々な障害者が「あの日を、そしてその後をどのように過ごしたか」をつづったドキュメンタリー映画の上映と、実際に被災した東北の視覚障害者の状況についての講演を行い、『防災・減災に向けて私たちはどう臨むべきか?3.11、被災障害者を通してみえてくるもの』をテーマに市民セミナーを開催することとしました。 このセミナーを通じて「災害時要援護者が命を守られ、安心・安全な避難生活ができ、復旧・復興した街で再び一市民としての暮らしに復帰できる仕組みこそが、健常者にとっても重要」なことを障害の有無の違いを超えて参加者同士確認し合いたいと思います。また行政に求めるだけでなく、『災害時ご近所パワー』の創造に向け、障害の有無に捕らわれない地域づくりの大接さも共有したいと思います。 お知り合いやご近所の方もお誘い合わせの上多数ご参加ください。
- 日時
- 2013年9月1日(日曜日) 13時00分から16時00分
- (受付は12時30分から)
- 場所
- はーと友神奈川2階 神奈川区福祉保健活動拠点 多目的研修室
- 後援
- 横浜市神奈川区・社会福祉法人神奈川区社会福祉協議会(予定)
- 参加費
- 1人300円 セミナーの主旨から会員外も同額
- 申込み
- 8月23日(金曜日)までに090-3405-4294へご連絡ください
- 日程
- ①主催者挨拶
- ②映画『逃げ遅れる人々』
- ※製作:認定NPO法人ゆめ風基金
- ③ティーブレイク
- ④後援『東日本大震災と原発事故による福島の視覚障害者の状況』
- ※講師:公益社団法人福島県視覚障害者福祉協会会長 阿蘇幸夫氏
- ⑤討論『防災・減災に向けて私たちはどう臨むべきか?』
- ⑥まとめと閉会
映画も講演も大変貴重なものです。充実した内容の市民セミナーになるよう、多くの会員の皆様の参加をお待ちいたします。
こちら情報室
今号より、日盲連・浜身連・浜視協や横浜市等からの情報、その他視覚障害者に関する重要な情報をお知らせする『こちら情報室』を掲載します。 これまでにも同様の情報は届いていましたが、会員全員へなかなかお知らせできずにいました。編集作業からお手元に届くまでに時間がかかり、中には申し込み期間が短かったり既に終わってしまう行事もあるかもしれませんが、それらも大事な情報ですので参考として掲載します。ご理解・ご了承ください。 今号では、次の2つについてお知らせします。
1 移動支援の講演会で田島係長が宿題として持ち帰られたことについて
総会の日に行った移動支援の研修会で出された質問や意見について、田島係長よりお返事をいただきましたのでお知らせします。 まず、福祉パス等の制度変更についての点字のお知らせは、区役所で把握している「点字案内が必要な方」(区の障害者支援窓口で点字案内の希望をした方(には、点字案内が送られるそうです。点字案内が必要なのにこれまで送られてきたことがない方は、神奈視協で取りまとめますのでご連絡ください。 福祉パスの手続きが、土・日・夜間は閉じている郵便局で行わなければならないのは困るということについては、市へ要望として伝えたとのことです。 混雑・遅延が生じやすいバス路線の改善についても市へ要望として伝えたとのことですが、バスの運行面の課題はまずはバス事業者側で対策を検討していくべきものではないかとの考えもあるとのことでした。 福祉パスの負担の控除については、当日のお答えと同じく、税務署へお尋ねくださいとのことでした。 バスハイクの際、具体的な介助の必要がないとの理由で同行援護が利用できないと言われたということについては、乗車中も周囲の様子や天候などの情報を提供することは視覚障害者に必要な支援であり、それらの具体的なサービスを提供する場合は報酬算定対象となる(ヘルパーを使える(とのことでした。ただしイベント等では、その主催団体がイベントに必要な手段を確保すべきものと考えるとの見解も併せて示されています。
2 おでかけ便利帳の配付について
月16日の浜視協第2回評議員会で、『おでかけ便利帳』(NPO法人横浜移動サービス協議会編)の墨字版とデイジー版が1部ずつ各区視障協へ配付されました。ガイドヘルプ事業の説明や事業者一覧の他、おでかけスポットの紹介記事等も載っています。 神奈視協では事務所に保管しますので、読んでみたい方、聞いてみたい方はご連絡ください。
今号の『こちら情報室』は以上です。これからも是非お読みください。
視覚障害者と外出(その2)
私が浜視協に関わるようになって約20年、最初の頃大変驚いたというか違和感があったのは、多くの浜視協会員がガイドの誘導で外出していたことです。 先天性視覚障害者でも他の障害のために単独外出できないとか単独歩行の機会がなかったとか、中途視覚障害者なら障害者になって日が浅いとか歩行訓練を受けていないとか、前は単独外出していたのに高齢でできなくなったとか、様々な事情で単独外出できない人がいるのはわかります。しかし偉そうなことを会議で声高に発言する人が、なぜ1人で歩かないのか、歩けないのか?単独外出する視覚障害者が普通だった私には、それが不思議でなりませんでした。 実は私にはこんな経験があります。アパート暮らしを始めた1970(昭和45)年頃、『まちづくり運動』というのが全国で産声を上げ始めました。券売機に点字表示をするとか歩道の段差をなくすとかいうものです。もちろん私もそれに首を突っ込んで、多くの障害者や支援の健常者と日々活動していました。 視覚障害者関係のメインは、駅ホームへの点字ブロック敷設でした。これは、点字ブロックのなかった山手線高田馬場駅のホームから全盲の上野孝司さんが転落し、電車に引かれて即死した事件(上野訴訟という有名な民事事件)の影響を強く受けたものです。当時の国鉄もかなりショックだったようで、鉄道総合研究所という研究部門が本腰を入れ、視覚障害者にわかりやすい点字ブロックの形状や敷設方法を研究するようになりました。 ある日その研究所から、高田馬場駅で実証実験をするので来てほしいという話があり、行ってみると視覚障害者の世界では飛ぶ鳥を落とす勢いの村谷昌弘日盲連会長がガイドの誘導でやって来ました。若造で物知らずの私でしたが、日盲連や村谷会長のことは知っていましたのでまずは丁重なご挨拶。そして研究所側から実験の説明や参加した視覚障害者へのヒアリングが始まりました。 しかし話が進むに連れ私には腑に落ちない感覚が強くなってきました。私は単独歩行で鉄道駅も利用していましたからヒアリングにはすらすら答えるのですが、村谷会長は時に言葉を詰まらせ、やがて自分のことではなく一般論のような理屈とも思えないことを、弁舌爽やかにまくし立て始めたのです。 私は思いました。「ああ、この人はいつもガイドの誘導で歩いているので駅の本当の怖さを知らないんだ。困ったことがないんだ。それはそれでいいけど、そんな人の意見が視覚障害者の実感だなんて思われたら迷惑な話だ」と。 浜視協に関わり始めた頃の驚きや違和感は、正にあの時の高田馬場駅での腑に落ちない感覚そのものでした。健常者でも様々な歩き方があるように、視覚障害者にも様々な歩き方があって当然です。ガイドとの歩行もその1つです。 ただ「道路がどうの、ホームがこうの」と偉そうに言うのであれば、少なくとも単独歩行による実感を言ってほしい、もしそうでないなら少し声を小さくしてほしい。それが、単独歩行が視覚障害者の自立した生活の第一歩と思っている私の希望です。そして、単独歩行の喜びも実感してほしいとも思います。
会長より
先日、あるガイドボランティアの方と話す機会がありました。その方によれば、困るのは洋服やアクセサリーなどの買い物の時に「似合うの選んで」と言われることだそうです。理由は、趣味や好みが人により違うからだそうです。そういえば、ガイドヘルパーの養成研修でも同じような話を聴きました。 その点『デパートコンシェルジュ』なら、商品知識も十分だそうですしガイボラ・ガイヘル同行でもお手伝いくださるそうなので「もってこい」なのではないでしょうか。近いうちに利用してみようかと思いました。 でもそのためにはまずは先立つものが必要です。どなたか、預金の額以上に引出しを手伝ってくれる『銀行コンシェルジュ』をご存じありませんか?
編集後記
今号が皆様のお手元に届く頃は、梅雨明け目前でしょう。くれぐれも熱中症に気をつけて夏を乗り越えて行きましょう! さて、今回は、デパートのコンシェルジュについてご紹介します。私は、時々デパートのデパ地下で買い物をします。その際、買い物に同行し、手伝ってくださる方々がコンシェルジュです。デパートのコンシェルジュは、商品知識や接客に卓越した店員です。 横浜駅には、高島屋とそごうの2つのデパートがあります。高島屋は、臨機応変に対応するとのこと、コンシェルジュには洋服のコーディネート専門のコンシェルジュもいるとのこと。また、そごうは、案内時間は2時間まで、各売り場間の案内をし、買い物の相談は各売り場担当者が行うとのことでした。 どちらのデパートも、前もって、デパートの代表電話を通じて、コンシェルジュ担当に、コンシェルジュの案内を予約し、買いたい商品を伝えておくとスムーズに買い物ができます。 なお、両店とも、視覚障害者単独、ガイドヘルパーなどとの同行者、盲導犬での来店でも、コンシェルジュの案内が受けられます。
- 横浜高島屋
- 045-311-5111
- 横浜そごう
- 045-465-2111
投稿をお待ちしております。日頃感じていること、何でもかまいません。神奈川区視覚障害者福祉協会宛にお願いいたします。 夏を迎え、会員、賛助会員、音声訳を行ってくださるボランティアの皆様、くれぐれもお体ご自愛お願い申し上げます。
2013年度第2号(通算第42号)
- 発行日
- 2013年7月15日(年6回発行)
- 発行元
- 横浜市神奈川区視覚障害者福祉協会
- 発行責任者
- 神崎好喜
- 編集責任者
- 戸塚辰永
- 連絡先
- 〒221-0825 横浜市神奈川区反町1-8-4
- はーと友神奈川2F神奈川区福祉保健活動拠点内
- 電話 090-3405-4294(神奈視協・ピアプレース共用)